8月15日(水)
●早起き
 今日は北京郊外にある万里の長城(以下「長城」)を観光する。その為、6時起床、7 時に宿を出る。気合十分である!ここまで早起きしなくても長城へは行く事ができるのだ が、今回は訳がある。  北京市内から長城へは德胜门(徳勝門)からバスに乗るのが一般的だが今回は列車で行 く。
 長城までの列車は1日1本しかなく、その列車が北京市内にある「北京北火車站」を8 時過ぎに出る。その為、今回は気合を入れて早起きした訳である。今回は青島から北京へ の移動手段として考えていた列車の旅が出来なかった為、ここは是非列車に乗りたい所で ある。

まずはバスに乗車

●北京北火車站へ
 まずは、長城へ行く列車の始発駅である「北京北火車站」へ向かう。まず、宿の最寄の バス停より2番系統のバスに乗り、一旦、前門車站まで行く。しかし、ここで前門の1つ 先のバス停まで行ってしまい、思わぬところでタイムロスを喰らう。
 気を取り直して前門車站まで戻り、ここから地下鉄に乗車。さすがにラッシュ時間だけ あって、車内は混雑している。地下鉄を西直门(西直門)車站で下車して、徒歩10分位で 北京北火車站に到着する。現在の時刻は8時5分過ぎである。

 まずは切符を購入する為、乗車券売場へと向かう。時刻表で長城(八达岭/八達嶺)へ 向かう列車の発車時刻を調べる。
えっと、八達嶺へ行く列車の発車時刻は...

列車番号 種別 発車時刻 行先
6427 普客 8:06 沙城

えっ...もう発車しちゃった!?

北京北火車站 駅前(その1) 北京北火車站 駅前(その2)

●間に合わない!?
 時刻表を見て愕然とするが、乗車券売場の入口に横断幕があり、八達嶺観光用の列車が案 内されている。もしかして、これで行ける?しかし、発車時刻など、この列車に乗車する 為に必要な情報は一切掲示されていない。まずは窓口で切符を買ってみよう。
 例の如く切符を購入する長い列に加わる。しかし、窓口の人に聞いてみると、ここでは 乗車券の購入ができないらしい。

切符売場 観光用列車の横断幕がある


 実際に駅へ向かうと買えるかも、と期待を込めて北京北火車站の入口へと向かう。
駅の入口にて

「我们想去八达岭」 (我々は長城(八達嶺)へ行きたい)

と言うと

「你有车票吗?」(乗車券は持ってるか?)

と逆質問を受ける

「没有」(ありません)

と答えると

「直ぐに発車するから、早く!」

と中に通される。

 駅に入る際、通常ならば荷物のX線検査を受けたりするのだが、思いっきりNo Check である。
これで良いのか!?
駅の中に入ると八達嶺へ向かう列車が停まっている。これに乗ればよいのか!
列車のドア口に立っている車掌に、八達嶺へ行きたいが乗車券を持っていない旨を伝えると、
「1号車に乗って」

と指示される。
 指示通り1号車へと向かい、1号車のドア口に立っている車掌に、この列車が八達嶺へ 行く事と、車内で乗車券を購入できる事を確認し、車内へ入る。あれよあれよと言う間に 列車に乗れてしまった。
 ちなみに、我々が乗った列車は便名から判断すると北京北発8:06の列車。既に発車した と思われた列車に乗れてしまった訳である。なんとも運が良い。

北京北火車站 列車に乗れました

●各駅停車の旅
 指定された1号車に乗り込むとガラガラで席は選び放題である。好きな席に座り発車を 待つ。すぐに列車はゆっくり走り出す。中国での各駅停車の旅が始まる!

乗車駅 → 下車駅 種別 行先 列車番号 運賃
北京北8:29→八達嶺11:07 普客(普通列車) 沙城 6427 4.5元+車内発券手数料 1元

沙城行 普通列車

 普通列車の為、速度も出さずにゆっくりと走る。暫くは地下鉄13号線と並走するが、13 号線と離れた辺りから急に民家も少なくなる。のんびりと田園風景を走る。列車には冷房 が設置されていない為、窓を開ける事ができる。走行中に入る風が心地よい。
 最初、ガラガラだった車内も駅に到着する度に乗客が増えていき、そして殆どのボック ス席が埋まる。乗客が増えて来たところで検札兼乗車券販売が始まる。我々は乗車券を持 っていない為、その場で八達嶺火車站までの乗車券を購入する。運賃は4.5元に車内発券 手数料1元の合計5.5元である。

(左)手数料1元券 (右)乗車券

 普通列車らしく途中、優等列車に抜かれたりしながら目的地を目指す。ただ普通列車とは 言え、車内販売があり、飲み物やカップラーメンを販売している。 そして、もうすぐ八達嶺へ到着という場面で長時間停車する。列車に抜かれる気配も無く、 何かあったのかな?と思い始めると、列車の進行方向が変わり動き出す。
 なるほど、スイッチバックの準備をしていたのか。そして、勾配を登り切ると程なく八 達嶺火車站に到着。

暫く地下鉄13号線と併走 途中駅「沙河」站付近を行く
郊外に出ました 田園風景を行く
長城が見えてきました! 八達嶺火車站到着
八達嶺火車站 駅舎 八達嶺火車站 駅構内

●八達嶺
 案内板に従い長城へ向かう。八達嶺火車站から長城まで約1kmある。それにしても暑 い!この状態で長城を登るのは大変だ。青島のビール祭りに参加後、日本人の方にアドバ イスを頂いた内容は本当のようだ。途中、ロープウェイの案内を発見する。八達嶺へ向か うかロープウェイ乗り場へ向かうかの判断の分かれ道である。

さて、どちらへ行こうか?

 そして、我々は迷わずロープウェイ乗り場へ向かうのであった(笑)
切符売場でロープウェイの片道乗車券と長城の入場券を購入する。乗り場へと向かうと 既にゴンドラが到着しており、すぐに発車する。
 お、結構速度がでるじゃん!しかし、発車後暫くすると急に速度が遅くなる。一瞬故障か? と思うが、すぐに速度が下がった理由が判明する。
 このロープウェイ、乗り場到着の際にゴンドラがロープから分離されないのである。 その為、別のゴンドラが乗り場に到着すると速度を落とす事になる。日本の箱根等にある ロープウェイの様に乗り場到着の際、本線のロープから分離されると本線上で速度を落とす 必要がないのだが。

ロープウェイ乗り場 ゴンドラからの風景

●いきなり頂上へ
 八達嶺のコースは2つあり、それぞれ男坂、女坂と呼ばれている。男坂の方が急勾配に なっていて、眺めが良い。我々はロープウェイに乗車し、いきなり男坂の終点に到達。なん か反則な気もするが、炎天下の中、坂を登った場合、景色を堪能する余裕が無いかもしれな い。今回の主目的はハイキングではなく長城自体の観光である為、これもありかも。 と自分を納得させる(笑)
 長城を下から登るのは、夏以外の季節に訪れた際にしよう。尚、今回は頂上からのスタート である為、急勾配を下っていく事になる。

まずは頂上へ 行き止まり
これ以上行けません 長城はさらに続く

●腹減った!
 長城の景色を満喫しつつ八達嶺の入場口付近まで到着する。引き続き女坂へも行きたい が、相当腹が減っている。朝、順調に列車に乗れた事もあり、実は、今日は何も食べてい ない。入口付近に売店があるが、見事に満員御礼。これでは、ゆっくり食事を楽しめない。 長城の外には食事できる店はあるだろうが、再入場は不可能な為、再び45元の入場券を購 入しなければならない。考えた末、

 現在の食欲 > 再び入場券を買うのは勿体無い

という事で食欲には適わないという結論が出る(笑)
結構高額な長城の入場券。再入場は勿体無いが一旦出る事にする。
 長城の入口から下ると何件かレストランを発見する。その中の1店に入り昼食タイム。 ビールを飲みたい気分だが、ビールを飲んだ瞬間に長城を登るのを断念しそうなので、こ こはコーヒーを注文する。
 昼食を楽しみ、再び長城へと向かう。ビールは飲まなかったものの、食べ過ぎて腹が一 杯で苦しい。
ビール飲んだのと大して変わらない状況になってしまった(笑)
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下山しましょう ★八達嶺を見渡す
昼食は麺料理 ちと頼みすぎたか...

●八達嶺午後の部
 今度は女坂を登る。炎天下の中、坂を登るのは予想以上に大変。しかも前述の通り、昼食 食べ過ぎて苦しい(笑)
 一番上まで行くのは次回の機会に譲る事にして、今回は景色を堪能する。また、男坂より 観光客が圧倒的に多い。眺めについては男坂の方が良いが、長城としての美しさは女坂の 方に軍配が上がる。

さて、登りましょう!

上り坂を行く

●ジェットコースター
 女坂を途中まで登った所にジェットコースター風の乗り物がある。これに乗ると一気に 下山できる。乗り場の雰囲気は正に遊園地!
 歴史的な建造物である長城に遊園地的な乗り物を作るという発想が凄い。悠久な歴史を 感じる建造物を堪能した後は、ジェットコースター風の乗り物で一気に下山。なんとも不 思議な気分になる。
 人気があるらしく、かなり並んでいる。列の並び方が、また遊園地を連想させる。
 切符売場で乗車券(片道30元)を購入し、暫く並ぶと我々の番が来る。ホームで待つと ジェットコースター風の乗り物が到着。さっそく乗り込む。この乗り物は有人で、一番前に 係員が乗務している。乗り物にはブレーキが付いており、キュルキュルとブレーキを掛け ながら下る。見た目はジェットコースターだが、速度は出ず、カーブでは相当減速して安 全運転で進む。風が心地よい。
 下山した所には何故か熊園がある。今日は日差しも強く、とても暑い。熊も日陰でぐっ たりしていた。

今回はここまで! 到着を待つ
意外(?)と安全運転で下る 下山しました
熊園 暑さで熊もぐったり

●帰りは高速バス
 熊園を進むと大きな駐車場に出る。その一角に北京市街直通のバスを発見!バス停はも う少し先だと思っていた為、これはラッキーである。北京行きのバスは高速道路経由と一 般道経由があるが、このバスは高速道路経由の速達タイプである。
 高速バスの運賃は12元。車内で車掌より乗車券を購入する。列車の実に2.5倍するが、 その分速くて快適。八達嶺から北京市内の德胜门(徳勝門)まで1時間半で到着する。乗 客はとても多く頻繁に発車している。もちろん、冷房も効いている。

高速道路「八達嶺高速」を行く 都心部では渋滞
徳勝門バス停に到着 徳勝門

●路線バスで移動
 德胜门(徳勝門)から宿に戻る事にする。まずは、地図を見ながら地下鉄の駅へと向か う。暫く駅に向かって歩いている途中、バスの車庫兼停留所を発見。ここから5番系統の バスが出ている。路線図を見ると前門へ行く事が判明。始発で座れる事もあり、これに乗 って前門へ向かう事にする。
 バス停は着席用の列と立席用の列に分かれている。着席用の列には大勢の人が並んでい るが、立席の列には殆ど並んでいない。我々も着席用の列に並びバスを待つ。暫くすると バスが到着。5番系統バスも連接バスである。

5番系統に乗車 バス停で到着を待つ

●胡同を訪ねる
 バスは前門車站を通り過ぎる。前門のバス停は駅から少し離れている。バス停を降りる と近くに胡同(hu tong)を発見。「胡同」とは細い路地の事で、北京の古い街並みを色濃 く残した場所である。暫く胡同を歩く。近代的な街並みを見た後に胡同を訪れると、タイ ムスリップした様な錯覚を覚える。ここはゆったりと時間が流れている。
(注釈に★が付いている写真はクリックすると大きな画像が表示されます)

胡同の案内 ★胡同の風景(その1)

胡同の風景(その2) 胡同の風景(その3)

●王府井で夕食
 胡同散策後、一旦宿に戻り荷物を置き、夕食を食べに王府井へ向かう。王府井は北京で も屈指の繁華街だけあり、とても明るい!また、メイン通りは歩行者天国となっていて車 は走っていないが、とにかく人が多い。

王府井を目指す 王府井 とにかく明るい!

 我々は美食街があるビルに入り夕食とする。美食街なので色々な店がある、今回は、し ゃぶしゃぶ店をChoice。この店は1人でもしゃぶしゃぶが楽しめる様、カウンター席があ り、それぞれの席に鍋が設置できるようになっている。
 メニューが沢山あるので、小姐にお薦めを訊き、それを注文する。注文後、すぐに野 菜と肉が到着。量が多い!!最初、果たして食べきれるか?と思ったものの、無事に完食。

まずは乾杯! で~ん!しゃぶしゃぶ登場!
煮えてきました ご馳走様でした

 食後、宿のカウンターでビールを購入し、部屋で飲みなおして就寝。
明日は再び青島へ戻る。

再び王府井を歩く 屋台街を発見